「いやぁーっ、お母さま、お母さまぁーっ!」
痛々しく泣き叫ぶフィオナ姫を尻目に、女帝セレスは悠々とアイシャ妃を小脇にかかえ、いずこへと連れ去ってゆく。
「フィオナ、気をしっかり持つのですよ、フィオナ…!」
「うふふ、こうして触れてみるとよく分かるわ。どこもかしこも脂が乗って、まさに食べ頃じゃないの。楽しみにしてらっしゃい、お前の熟れきった肉体をとろとろに蕩かせて、極上の果実酒を搾り取ってあげるから♡」
「卑劣な魔女どものおぞましい手管などに、決して屈してはいけません。あなたは、誇り高きアルマデル王家の娘なのですよ。いざというときは、覚悟して――よいですね、どんなことになろうと、何処へ逝こうとも、この母の魂、そして父王陛下の魂は必ず、必ずあなたと共にあるのですから…!」
「お母さま、お母さま…、う、うぅ…っ」
母の下ににじり寄ろうとするフィオナ姫の縛鎖を、魔女の娘が手にとって引き離す。
「あらあら、おおげさな親子愛ね。べつに、もう二度と会えないわけじゃなし。いずれ調教の仕上がり具合をママと比べ合うときに、ちゃんと再会させてあげるわよ♪」
いまや唯一の肉親となった母までも奪われ、がっくりとうなだれるフィオナ姫を強引に引きずり、私室へと急き立てるジュジュ。きらびやかな絨毯の上へ無作法に転がすと、ジュジュはあらためて悲痛に青ざめた姫君の顔をしげしげと覗きこんだ。