「――わ、私たちを…、どうするつもりですか」
気丈にも侵略者を睨みつけて、王妃が詰問する。
「あら――そんなこと、聞くまでもないでしょう。何のために生きたまま、それこそ痛みやすい果実を扱うように、丁重にもてなしていると思って?」
冷ややかに値踏みするような女王の視線が、ねっとりと絡みつく。囚われの母娘の端正な眉目が、屈辱と恐怖に震えた。
「ど…、どうか、お願いです。この娘は、フィオナにだけは、手を出さないで。私はどうなっても、構いませんから…」
予想できたこととはいえ、奈落へ落ちてゆくような絶望があらためて王妃を襲った。崩れそうになる膝を懸命にこらえ、痛々しい形相で懇願する。しかしそれは、冷酷な女王のサディズムをむしろ昂揚させたに過ぎなかった。口唇をひとつ舌なめずりすると、熱っぽく瞳を揺らめかせ、おもむろに玉座から立ち上がる。
「さて…どうかしら、ジュジュ。家柄や育ちは言うまでもないし、年頃もあなたにぴったりの相手だと思うのだけど」
「ええ、ひと目で気に入ったわ、ママ。金色に輝く髪に、すべすべの白い肌、大きな瞳。まるで、お人形みたいに可愛らしいお姫様ね♡」
「ふふ、それはなにより。ならば予定通り、王妃は私のもの、姫君はジュジュのものということで、良いわね?」