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読書

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ネットで見かけた「石原都知事の作品を4コマで再現」ってやつ。
http://subcultureblog.blog114.fc2.com/blog-entry-1024.html

こんなのを書いていたヤツが青少年健全育成とは片腹痛いわ!というコメは当然だしオレもそう思ったけど、誰かが手を加えた資料を鵜呑みにして批判するのはスッキリしないものがあったので、自分でも読んでみた。図書館で無料で借りられるし。

で、一読した感想は、むしろ言われている批判とは逆だった。
というか読めばおそらく誰もが感じると思うが、これを執筆するような人間だからこそ、自分に理解できない文化や創作物を規制せずにはいられないのだ。そして、そのときどきの自分の利益や欲求に基づいて平然と矛盾した発言するのも当然だ。
そういう意味で石原慎太郎にまったくブレはない。「あんな不健全小説を書いていたのに不健全マンガに寛容じゃないのはおかしい」なんてのは、あまりにもお人よしな批判と言っていい。
続き
まず4コマについての感想から。
「完全な遊戯」はこの通りだった…というか、無内容すぎて4コマでも十分と言うのが正しいか。
「処刑の部屋」「太陽の季節」はエピソードの選び方がいささか恣意的。こういう切り取り方するなら「エロゲだけど感動もあるんですよ!」と信者が力説するような作品だって、「優柔不断で浮気性な主人公が、誠実ぶった被害者面で女をとっかえひっかえ犯すゲーム」とバッサリ切り捨てられるだろう。
こっちの「8コマ漫画にしてみた」のほうが公平な視点だと思う。
http://katarue.com/archives/51887018.html
あとどっちのマンガも「処刑」「太陽」のヒロインが今でいう「ビッチ」(この言葉大嫌いだけど)であることを伏せてるのは卑怯じゃなかろうか。「非処女は無価値、ビッチはひどい目に合って当然」って主義者どもは、石原を嘲笑できないと思うんだが。

で、話は戻って「石原慎太郎にまったくブレはない」について。
作品に共通するのは、「ムカついたら、否、ムカつくことがなくてもケンカを吹っかけろ、殴れ、盗め、犯せ、殺せ、自分の欲望のままやりたいようにやれ、誰かが決めた社会のルールや価値基準など一切気にするな」ってことなんだよね。まるでオーズのヤミー…というよりそれ以上の非道だが。
それが大衆に受けたのだから、その通りのことを権力者となった今もやっている、それだけのこと。
なにせ今度は大衆どころか、有権者の支持や都知事の地位っていうっていう自己利益にガッチリつながる要素があるんだから、票にならないオタク共など意に介する理由がない。
小説は自分も書いてるからお咎めなし、マンガやアニメはムカつくからケンカ売って叩き潰す。ハタから見ればむちゃくちゃな理屈だが、石原にとっては正当この上ない論理なのだ。すべてを自分だけの価値基準で決定していいわけだからな。

「ゲルマンだけが優良種、ユダヤは虐殺しちゃえ!」というヒトラーに向かって、「じゃあこちらも、ゲルマンが劣等種という独自の判断に基づいてあんたがたを虐殺していいですかね?」と質問してもムダなのと同じだ。
「優良種か劣等種か決めていいのは我々だけだ、虐殺していいのも我々だけだ」というのが、独裁者側の論理なのだから。

それにしても厨二病的エゴ全開のレイプ小説を読むのは苦痛だった。50年前から日本人はこんなのチヤホヤしてやがるのか。
2次元3次元を問わず、お前らどんだけ後腐れのないレイプが好きなんだよ、まったく。
いったいいつになったら、ラブラブなふたなりレズものがエロの主流になるんだろうなぁ…